【講演1】 放射線影響研究所の調査とバイオサンプル研究センターの生体試料管理システム

放射線影響研究所 1分子生物科学部、2バイオサンプル研究センター
林 奉権先生12 田邉 修先生2
原爆投下から70年以上を経過した今日においても、原爆放射線被ばくは生存者の健康に長期的な影響を及ぼし続けており、被ばく線量の増加に伴ってある特定のがんやがん以外の疾患リスクを上昇させている。放射線影響研究所(放影研)では2つの主要なコホート研究として、1950年から開始された寿命調査(LSS)と1958年から開始された成人健康調査 (AHS)を行ってきた。AHSは12万人のLSS対象者から選ばれた2万5千人の部分集団を対象とした2年に1度の健康診断に基づく追跡調査であり、AHS対象者の血液試料と尿試料が保存されてきている。本セミナーでは、放影研の調査とバイオサンプル研究センターでの原爆被爆者の試料の保存状況と管理システムについて紹介する。

【講演2】 2次元(2D)コード付きクライオチューブの優位性/利便性と運用例について

サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
ラボプロダクツ事業部マーケティング部
フィールドアプリケーション 中島 弘喜
ラボのサンプルは常温、冷蔵、凍結とさまざまな温度帯でハンドリングされ、特にサンプルを長期に保管する場合は凍結環境下で保管されるケースが多くあります。凍結保存用に設計されたクライオチューブは、サンプルを安全かつ確実に凍結保管するための必須アイテムと言えます。
本セッションでは、クライオチューブの中でも特にサンプルに付随する情報を含めたスマートな管理ができる2次元(2D)コード付きのクライオチューブである2Dチューブの仕様とその優位性/利便性について、実際に2Dチューブをご使用いただいている公益財団法人放射線影響研究所さまの運用実例を交えてご紹介いたします。

【講演3】 神奈川県立がんセンター生体試料センターの現状と課題

神奈川県立がんセンター 宮城 洋平先生
神奈川県立がんセンターの臓器横断的な病院併設型バイオバンクは、2005年10月にである腫瘍組織センターとして設置され、2016年に生体試料センターへと名称が変更され現在に至っている。腫瘍組織センターは、神奈川がん臨床研究・情報機構の会員へがん関連試料を提供することを主目的として設立され、同機構の解散(2015年)、文科省・新学術領域研究・がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動の開始(2008年)を経て、その目的も変遷し、2017年からは、on site/off siteでの超低温庫の外部委託管理を開始し、その体制も変化している。今現在は、累積する凍結試料、血液試料の廃棄問題、企業に提供する前向き組織試料収集などに関する問題にも直面している。現状と課題を整理して皆様と共有し、バイオバンクの今後の方向性についても話題が提供できれば幸いである。

【講演4】 朝日ライフサイエンス(株)製品・技術紹介

朝日ライフサイエンス株式会社
業務部 マーケティング担当 永友 敏恵
朝日ライフサイエンス(株)は、主に欧米製理化学機械器具・医療機械器具の輸入・販売・修理を行う理化学機器商社です。主力製品でもある超低温槽の50年以上にわたる販売・修理の実積より得た経験をいかし、バイオバンク施設、研究開発施設等への技術、製品提供を行っております。また、外部への技術、製品提供にとどまらず、2011年には自社内に凍結保管サービス向けの超低温槽を設置、凍結試料の保管事業「朝日サンプルバンクサービス」としてスタートしました。現在では約350万本以上のサンプル数を保管する自社内設備を構築しています。近年は、欧米で低温保存方法として増えております大容量フリーザー(超低温槽複数台分の容量)を製品ラインナップとして採用し、省スペース、機械的なリスク削減およびランニングコスト低減の提供を実現しております。この機会に、朝日ライフサイエンス(株)が提供する、安心・安全な生体試料の保存について情報を発信させて頂ければ幸いです。