バイオリポジトリ技術管理士(BiTAビィータ)
Biorepository Technical Administrator
BiTAはバイオリポジトリ専門技術者の要員認定資格です。

バイオリポジトリ技術管理士とは

バイオリポジトリ分野のスペシャリストを目指します。

 正確な研究成果を得るためには、誰が実験しても同じ結果が再現されることが重要です。
しばしばライフサイエンス分野において、掲載された論文のデータの再現性が得られない点が指摘されています*。また、生物試料を用いた実験の再現性を得られない原因の多くは、前処理の工程で起こることも報告されているところです**。


 バイオリポジトリにおいては、研究を目的とした質の高い生物試料や環境試料が求められます。世界各国のバイオバンクが共通の認識で開発された手順で検体を取扱い、同程度の精度でデータを解析できれば必要なときはそれらのデータを統合して研究の枠を広げることが可能となります。


 ISBERでは、早くからこれらの問題に取り組み、会員から集めた経験やリポジトリの専門家による助言のもと、生物試料の収集及びリポジトリの管理のための効果的な実践方法を「ベスト・プラクティス:リポジトリに対する推奨事項」に提示しています。また、国際標準化機構であるISOにおいても、バイオバンクの標準化が議論され、バイオバンクの認定標準であるISO 20387(バイオバンキングにおける一般要求事項)が2018年に出版されました。


 このような国際動向の中、標準的な手法と運営を行うためのコンセンサスが欧米を中心としたバイオバンクの中で形成されてきつつあります。世界のバイオバンクが一定品質の生物試料を供給することができるようになれば、生命科学はこれまで以上に飛躍的に発展するでしょう。そのためにも、これらの施設で働く要員には、精度の高い技術の取得が求められています。


 「バイオリポジトリ技術管理士」は、ISBERベスト・プラクティスやISO 20387を遵守し、標準的な手法でバイオリポジトリ全般における業務を遂行できる要員を育成する事を目的とし、制度化しました。この資格を取得する事で、世界で通用するバイオリポジトリ分野のスペシャリストとして、バイオバンクやバイオリソースセンターで活躍していただけるものと確信しています。


参考文献
*Begley, C., Ellis, L. Raise standards for preclinical cancer research. Nature 483, 531-533 (2012).
** Lippi G. et al.. Preanalytical quality improvement: from dream to reality. Clin Chem Lab Med. 2011 Jul; 49(7):1113-26. Epub 2011 Apr 25.